肝臓癌には肝細胞がんと胆管細胞がんの2種類があり、前者が90%以上を占めています。したがって、一般に肝臓癌という場合には肝細胞がんのことを指しています。
年齢で見ると45歳頃から罹患率が上昇していきます。男女別に見ると男性に多く、女性のおよそ3倍となっています。現在のところ増加傾向にあり、生存率は高くありませんので、予後は良好とは言えません。
罹患の原因には肝炎ウイルスが深く関与しています。肝炎ウイルスの中でも関係しているのはB型とC型で、国内ではC型による影響が多く見られます。まずは肝炎ウイルスに感染しないことが重要な予防策になっているのです。
肝炎ウイルスの感染経路としては、母子間や血液製剤の注射、性交渉、注射といったものがあります。もちろん、肝炎ウイルスに感染しても、必ず肝臓癌になるわけではなく、リスクが高いという状態にとどまります。この他にも、喫煙や多量の飲酒も原因になりますので、予防のためには控えておきましょう。
治療法としては、手術や経皮的エタノール注入療法、ラジオ波治療、肝動脈塞栓術が中心となります。このほかに、放射線療法や抗がん剤が使われています。他のガンとは異なる治療法が使われていることが特徴です。
症状の進行度は病期(ステージ)によって表されますが、肝臓癌はステージ1からステージ4までに分かれており、数字が若い方が初期症状であり、末期に近づくほど数が大きくなっていきます。当然ながら、初期症状の方が治療成績は良く、生存率は高くなります。
この他にも、肝障害度はAからCまでに分けられており、機能の状態の良し悪しを表します。Aがもっとも軽く、Cが最も機能に問題があることになります。
検査は血液検査と画像診断によって行われます。これらの検査によって疑わしいとされる場合には、生検を行うこともあります。生検とは組織検査のことで、超音波検査で位置を確認しながら腫瘍に針を刺し、組織を一部採取します。
告知を受けた場合には、信頼できる専門医を見つけることが大切です。有名病院である必要はありませんが、やはり実績のある病院が好ましいでしょう。肝臓癌の名医や権威と呼ばれる専門医が主治医になってくれるのであれば、なおさら心強い味方となります。病院選びは、その後の闘病に大きな影響を与える要素となりますので、告知を受けて動揺していると思いますが、しっかり行って下さい。
原発性肝臓癌と転移性肝臓癌
どの部分からガンが発生したかによって、原発性と転移性に分けられます。原発性肝臓癌は、元々肝臓からガンが発生したもので、転移性肝臓癌の場合には、他の部位(たとえば胃がんや大腸がん)からガン細胞が転移してきたもので、元のガンの性質(胃がんや大腸がん等)を持っています。どのような性質を持っているかによって治療法が変わってきますので、原発性か転移性かの区別は重要です。
原発性で用いる治療法が転移性の場合にも使われるのが原則になっているのですが、例外もあります。たとえば、乳がんが原発になっている転移性肝臓癌の場合には、ホルモン療法が使われることがあります。これは原発性の場合には見られないことで、ガン細胞が乳がんの性質を持っているからこそ使える方法です。
この他にも、大腸がんや胃がん、すい臓がんななどが原発巣となって転移してきます。転移性の場合の生存率は、どこが原発巣になっているかによって大きく異なります。たとえば、難治がんの王様と呼ばれるほど予後が悪いすい臓がんが原発になっている場合には、生存率はとても低くなります。
転移性肝臓癌の場合には、原発巣の症状が進行していることが一般的ですので、全体としてはあまり予後が良いとは言えません。ただし、外科手術によって腫瘍を取り除ける場合もありますので、治る見込みがまったくないわけではありません。
肝臓癌の治療法の決め方
どのような治療法を選ぶかは、その後の経過を決定付ける重要な問題になります。したがって、主治医の言いなりになるのではなく、自分でも基本的な知識を持って話を聞き、疑問や不明な点は質問しておきましょう。
医師と患者さんでは圧倒的な知識の差がありますので萎縮してしまいがちですし、ガンになるという不慣れなことに戸惑う気持ちもあるでしょう。しかし、自分の命に関わることですので、納得しておくことは必要です。一人の医師の話を聞くだけで満足できなければ、セカンドオピニオンもあります。
セカンドオピニオンによって他の専門医からも意見をもらい、より的確な診断や治療法の決定をすることは無駄ではありません。もちろん手間や費用もかかりますが、生死がかかっていることを考えれば、検討する価値はあるでしょう。
肝臓とは
肝臓は脳を除けば人体でもっとも大きな臓器で、成人では1キロを超えます。腹部の右側に位置しており、周囲には肺や心臓、胃、腎臓があります。沈黙の臓器と称され、異常があってもなかなか症状は現われません。
機能としては、血液を溜めて体内を循環する血液の量を調節することや、アンモニアを尿素にして体外に排出させること、胆汁の生成、栄養分の分解や合成、有害物質を無害化する作用があります。